宇宙の始まりビッグバン ~私たちの体をつくる元素はどこから来たの?~
はじめに:ビッグバンは遠い宇宙の出来事?
ビッグバンと聞くと、「ものすごく昔、遠い宇宙のどこかで起きた大事件」のように感じられるかもしれません。確かに、それは約138億年前に起きたとされる宇宙の始まりのお話です。
しかし、このビッグバンのお話は、実は私たちの今の体や、私たちが住む地球とも深いつながりがあるのです。今回は、ビッグバン理論が教えてくれる、宇宙の始まりと私たちを形作る「材料」の物語について、やさしく見ていきましょう。
ビッグバン直後、宇宙はどんな様子だったのでしょう
ビッグバン理論によると、宇宙は最初、想像もできないほど小さく、そして非常に熱い塊のような状態から始まりました。まるで、全てがギュッと詰まった、ものすごく熱い「点」のようなイメージです。
時間が経つにつれて、宇宙はどんどん広がっていきました。広がると同時に、その温度も下がっていきました。
宇宙が少しずつ冷えていくと…
宇宙が広がり、温度が下がっていくと、それまでバラバラだった小さな粒々が、少しずつまとまることができるようになってきました。
最初は、陽子(ようし)や中性子(ちゅうせいし)、電子(でんし)といった、私たちを形作る物質の「素(もと)」になるような、さらに小さな粒(素粒子、そりゅうし)が生まれました。
軽い「元素」が誕生しました
宇宙がさらに冷えていくと、これらの小さな粒々が結びつき始めました。特に、陽子と中性子が結びついて、「原子核(げんしかく)」というものができるようになりました。
ビッグバンからしばらく経った宇宙で作られたのは、主に「水素(すいそ)」と「ヘリウム」という、とても軽い種類の原子核でした。宇宙に存在する物質のほとんどは、この時できた水素とヘリウムなのです。
では、私たちの体をつくる「重い元素」はどこから?
さて、私たちの体を思い浮かべてみてください。体には水分(水素と酸素)、骨にはカルシウム、血液には鉄分など、水素やヘリウム以外の、もっとたくさんの種類の「元素(げんそ)」が含まれています。炭素や酸素なども、私たちにとって非常に大切です。
これらの、水素やヘリウムよりも重い元素は、残念ながらビッグバンが起きたばかりの宇宙ではほとんど作られませんでした。では、これらはどこからやってきたのでしょうか?
星の中や、星の最後で生まれた元素たち
水素やヘリウムが大部分を占めるようになった宇宙では、その後、これらのガスが集まって、最初の「星」が生まれました。
星の中心部では、ものすごい圧力と熱によって、軽い元素(水素やヘリウム)がぶつかり合い、より重い元素(炭素や酸素など)が作られていきます。これは「核融合(かくゆうごう)」と呼ばれる現象です。
さらに重い星が一生の最後に迎える「超新星爆発(ちょうしんせいばくはつ)」という大爆発では、鉄よりも重い様々な元素が一気に作られ、宇宙空間にばらまかれます。
宇宙の歴史と私たちは繋がっています
こうして、ビッグバンで作られた水素やヘリウムが集まって星ができ、その星の中で、そして星の最後の大爆発によって、炭素、酸素、鉄、カルシウムなど、私たちの体や地球を形作る様々な元素が生まれたのです。
これらの元素が長い時間をかけて宇宙を漂い、集まり、太陽や地球ができ、そして私たち生命が誕生しました。
まとめ
ビッグバンは単なる宇宙の始まりの出来事ではなく、私たちの体を形作る「材料」が最初に宇宙にばらまかれ、その後の宇宙の歴史の中で様々な元素が作られ、それらが集まって今の私たちに繋がっている、という壮大な物語の第一歩なのです。
ビッグバン理論を知ることは、宇宙という大きな存在と、私たち自身の存在が、どのように深く結びついているのかを知る旅でもあります。遠い昔の出来事が、今の自分と繋がっている。そう考えると、宇宙の始まりのお話も、少し身近に感じられるのではないでしょうか。