ビッグバン理論でわかる! 宇宙の「最初の光」って何?
はじめに
このウェブサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ビッグバン理論という、宇宙の始まりについてのお話に興味を持っていただけて嬉しいです。
私たちは普段、夜空を見上げたり、遠い星の光を見たりすることができます。光は宇宙空間を自由に飛び交い、私たちのもとまで届いています。
しかし、宇宙が誕生したばかりの頃は、光が今のように自由に飛び回ることはできませんでした。一体なぜでしょうか? そして、いつ、どのようにして光が自由に飛び交えるようになったのでしょうか?
今回は、ビッグバン理論が教えてくれる、宇宙が初めて「光」で満たされたときのお話をご紹介します。
ビッグバン直後の宇宙は「濃い霧」の中でした
ビッグバン theory が考える宇宙の始まりは、非常に高温で密度の高い状態でした。例えるなら、私たちの周りのあらゆるものが、ぎゅっと一点に押し込められ、熱く熱せられたような状態です。
このような宇宙が生まれたばかりの頃は、光(専門的には「光子(こうし)」と呼ばれます)は自由にまっすぐ進むことができませんでした。なぜなら、宇宙空間にたくさんの「電子(でんし)」という小さな粒が飛び回っていたからです。光は、これらの電子にぶつかっては進む向きを変える、ということを繰り返していました。
これはまるで、とても濃い霧や湯気の中を歩こうとするようなものです。すぐ目の前のものしか見えず、光が遠くまで届きません。宇宙は、光にとって見通しの悪い「濃い霧」のような状態だったのです。
宇宙が冷えて「晴れた」瞬間
宇宙はビッグバン theory に従い、時間とともにどんどん膨張し、それにつれて温度も下がっていきました。そして、宇宙が生まれてからおよそ38万年ほど経った頃、宇宙の温度は約3000℃くらいまで下がりました。
この約3000℃という温度が重要な節目でした。それまでバラバラに飛び回っていた「電子」たちが、「原子核(げんしかく)」という別の粒と結びついて、「原子(げんし)」という塊を作れるようになったのです。
原子は電気的に安定しているので、光とほとんど相互作用(ぶつかったり、吸収されたり)しなくなりました。
例えるなら、電子という小さな邪魔者がいなくなったことで、光は誰にも邪魔されずに、宇宙空間をまっすぐ自由に飛び回れるようになったのです。この出来事を、科学者たちは「宇宙の晴れ上がり(うちゅうのはれあがり)」と呼んでいます。まるで、濃い霧が晴れて、遠くまで見通せるようになったかのようです。
宇宙最初の「光」は何を語る?
宇宙の晴れ上がりによって、光は初めて自由に宇宙を旅することができるようになりました。この時、宇宙空間を飛び出し、今もなお宇宙を旅し続けている光があります。
この光は、「宇宙マイクロ波背景放射(うちゅうマイクロははいけいほうしゃ)」と呼ばれています。ビッグバンの「残り火」や、宇宙が晴れ上がった瞬間の「古い写真」に例えられることがあります。
なぜなら、この光を観測することで、私たちは宇宙が約138億年前にビッグバン theory で始まった頃の、宇宙が晴れ上がった瞬間の様子を知ることができるからです。この光は、宇宙のすべての方向から、ほぼ均一に私たちのもとに届いています。
この「宇宙マイクロ波背景放射」が見つかったことは、ビッグバン theory を裏付ける非常に大切な証拠の一つとなりました。
まとめ
ビッグバン theory が描く宇宙の始まりでは、最初は光も自由に動けない、濃い霧のような状態でした。しかし、宇宙が膨張して冷えるにつれて、電子と原子核が結びつき、光が自由に飛び回れる「宇宙の晴れ上がり」という時代が訪れました。
この時解き放たれた光が、「宇宙マイクロ波背景放射」として今も観測されています。この光は、遠い遠い宇宙の始まりの頃の様子を私たちに伝えてくれる、大切な「残り火」のようなものなのです。
この光を調べることで、科学者たちは宇宙がどのように始まり、どのように進化してきたのかを知る手がかりを得ています。
このように、ビッグバン theory は、私たちの宇宙がいつ、どのようにして「光」で満たされたのかについても教えてくれるのです。