ビッグバン直後の宇宙って、どれくらい熱くて小さかったの?
はじめに:宇宙の始まりはどんな世界だったのでしょう?
ビッグバン理論は、今からおよそ138億年前に、私たちの宇宙がとても小さく、そしてとても熱い状態から始まったと考えられています。
「ビッグバン」という言葉を聞くと、大きな爆発をイメージされるかもしれませんね。しかし、それは単なる「爆発」ではなく、「宇宙全体が急激に膨らみ始めた出来事」だと考えられています。
では、そのビッグバンが始まったばかりの、本当に最初の頃の宇宙は、一体どんな場所だったのでしょうか? 実は、それは私たちの常識ではとても考えられないような、驚くべき世界でした。
想像を絶する「熱さ」の世界
今の宇宙は、場所にもよりますが、全体としてはとても冷たい空間です。例えば、宇宙空間の平均的な温度は、マイナス270℃くらいだと言われています。
しかし、ビッグバンが始まったばかりの頃の宇宙は、これとは全く反対の世界でした。なんと、想像もつかないほど高い温度に満たされていたのです。
どれくらい高い温度だったかと言いますと、具体的な数字を聞いてもピンとこないかもしれませんが、例えば、太陽の中心の温度が約1600万℃と言われています。これはこれで驚くべき高温ですが、ビッグバン直後の宇宙は、その何億倍、何兆倍も熱かったと考えられています。
あまりにも熱すぎて、物質の形を保つことができません。原子はおろか、原子を作るもっと小さな粒(素粒子とよばれるもの)さえも、バラバラになって動き回っているような、そんな世界でした。まるで、全てが溶け合ってしまったような、想像もできない極限の状態だったのです。
考えられないくらい「小さな」世界
今の宇宙は、どこまで広がっているのか分からないほど広大です。私たちが見ることのできる範囲だけでも、何十億光年も先まで星や銀河が散らばっています。
ところが、ビッグバンが始まったばかりの頃の宇宙は、この広大な宇宙全体が、信じられないほど小さな空間に押し込められていたと考えられています。
どれくらい小さかったかと言いますと、私たちの体を構成する原子よりも、ずっとずっと小さかったと言われています。まるで、宇宙全体が一点に集まったようなイメージです。
広がる前の風船を想像してみてください。しぼんだ状態の風船はとても小さいですね。その風船を膨らませていくと、表面がどんどん広がっていきます。これと同じように、宇宙も昔はとても小さく、それが時間とともに大きく膨らんでいった、と考えると少しイメージしやすいかもしれません。
なぜ、そんなに極端だったのでしょう?
ビッグバン直後の宇宙が、なぜあれほど熱く、そして小さかったのか。それは、宇宙に存在していた全てのエネルギーが、非常に狭い一つの場所にぎゅっと集まっていたからだと考えられています。
エネルギーが狭い空間に集中すると、そこはものすごく高温になります。そして、その空間自体がとても小さかったのです。
その後、宇宙はどうなったの?
そんな想像もつかないような世界から始まった宇宙は、その後、ものすごい速さで膨張を始めました。膨張するということは、空間が広がるということです。空間が広がると、中にあったエネルギーは薄まり、温度は下がっていきます。
温度が十分に下がると、バラバラだった素粒子が集まって原子が作られ、その原子が集まって星や銀河ができ、そして今の私たちがいる宇宙の姿になっていきました。
ビッグバン直後の、熱くて小さな極限の世界は、たった数分、数時間、数万年、数億年といった時間の中で、今の広大で冷たい宇宙へと姿を変えていったのです。
まとめ:ビッグバン直後の宇宙は、今の常識とは違う世界
ビッグバン理論が教えてくれる宇宙の始まりは、私たちの普段の生活からは全く想像もつかないような、極端に熱く、極端に小さな世界でした。
しかし、その極限の状態から宇宙が広がり、冷えていく過程で、今の星や銀河、そして私たち自身も含む全てのものが生まれてきました。
ビッグバン直後の宇宙は、私たちの常識では考えられないような不思議な場所でしたが、そこから今の豊かな宇宙が始まった、ということを知っていただけたら嬉しいです。