ビッグバン理論は誰が最初に考えたの? ~宇宙の始まりの最初のアイデア~
ビッグバン理論は誰が最初に考えたの? ~宇宙の始まりの最初のアイデア~
私たちの宇宙がどのように始まったのか、考えたことはありますか? 今、多くの科学者が最も有力だと考えているのが「ビッグバン理論」という宇宙の始まりについての考え方です。
では、このビッグバン理論のもとになるような、宇宙の始まりのアイデアは、一体いつ、誰が最初に考えついたのでしょうか。
宇宙の始まりの最初のアイデアは?
今から100年ほど前のことです。宇宙が静止しているのではなく、遠くの銀河が私たちから遠ざかっている、つまり宇宙が広がり続けているらしいということが、少しずつ分かってきました。そんな時代に、ベルギーにジョルジュ・ルメートルという人物がいました。ルメートルは、カトリック教会の司祭でありながら、宇宙の謎を解き明かそうとする科学者でもありました。
ルメートルは、宇宙が今のように広がり続けているのならば、時間をずっと昔に巻き戻していけば、宇宙はどんどん小さくなっていったはずだと考えました。そして、宇宙のずっとずっと昔の姿は、まるで一つの小さな「塊(かたまり)」のような状態だったのではないか、と思いついたのです。
「原始的原子」という考え
ルメートルは、宇宙が始まった時の、非常に小さくて密度の高い、すべてのもののもととなる塊を、「原始的原子(げんしてきげんし)」と呼びました。これは、私たちが普段「原子」と聞くときに思い浮かべるものとは少し違います。宇宙のすべての物質やエネルギーが、ぎゅっと詰まっていた最初の状態をイメージした言葉です。
ルメートルの考えでは、この「原始的原子」と呼ばれる宇宙の始まりの小さな塊が、何らかのきっかけで急激に膨らみ始めました。そして、その膨張が続いて、今私たちが見ている広大な宇宙になった、というのです。
この考えは、当時の科学者たちの間では、非常にユニークで大胆なものとして受け止められました。なぜなら、その頃は、宇宙はずっと昔から変わらず、静止しているものだと考えている人が多かったからです。
ビッグバン理論につながる
ルメートルの「原始的原子」から宇宙が始まったというアイデアは、最初はすぐに多くの人に受け入れられたわけではありませんでした。しかし、その後、科学技術が進歩して宇宙を詳しく調べることができるようになると、ルメートルの考えを裏付けるような観測結果が見つかり始めます。
例えば、宇宙が実際に膨張している証拠や、宇宙全体に過去の熱い時代の「残り火」のような光があることなどです。
面白いことに、「ビッグバン」という言葉は、この膨張宇宙論に賛成していなかった科学者が、ルメートルのような始まり方を少し馬鹿にするような意味合いで使ったのが最初だと言われています。しかし、今ではこの宇宙の始まりの理論を表す、世界中で通用する名前として定着しました。
まとめ
ビッグバン理論の考え方の元となる、「宇宙は最初は非常に小さく、密度の高い状態から始まった」というアイデアは、今からおよそ100年前に、ジョルジュ・ルメートルという司祭であり科学者であった人物によって、最初に提唱されました。
彼の考えた「原始的原子」から始まる宇宙の膨張というアイデアは、最初は型破りでしたが、その後の科学的な観測によって次第に確からしさが認められ、現在のビッグバン理論の基礎となったのです。私たちが宇宙の始まりについて考える時、そこにはルメートルの先見の明があったことを知っておくのは興味深いことでしょう。
これで、ビッグバン理論の「始まりのアイデア」が、どのように、誰によって考えられたのか、なんとなくご理解いただけたでしょうか。