ゼロからわかるビッグバン

宇宙はこうして始まったと考えられた ~ビッグバン理論への道~

Tags: ビッグバン理論, 宇宙の歴史, 宇宙論, 宇宙の膨張, ハッブル

ビッグバン理論は、今の宇宙がどのようにしてできたのかを考える上で、とても大切な考え方です。私たちの住むこの広大な宇宙は、一体いつ、どのように始まったのでしょうか?

多くの方が、「なぜ宇宙の始まりなんて考えられるの?」「誰がそんなこと思いついたの?」と思われるかもしれません。ここでは、ビッグバン理論が生まれることになった、いくつかの大きな「きっかけ」について、分かりやすくお話ししたいと思います。

昔の人々が考えていた宇宙

今からずーっと昔、科学が今ほど進んでいなかった頃、多くの人は宇宙はずっと「変わらないもの」だと考えていました。星はいつも同じ場所に見え、宇宙全体も、昔も今も未来も、同じ姿を保っているのだろうと想像されていたのです。

もちろん、時代が進むにつれて、宇宙の姿について様々な考えが生まれましたが、「宇宙全体が時間とともに大きく変化している」という考え方は、あまり一般的ではありませんでした。

宇宙が「膨らんでいる」という発見

ところが、20世紀になって、宇宙の見方が大きく変わる出来事がありました。

エドウィン・ハッブルという天文学者が、遠くにある「銀河」と呼ばれる星の集まりを詳しく調べたのです。すると、驚くべきことが分かりました。ほとんどの銀河が、私たちから遠ざかっているように見える、ということです。しかも、遠くにある銀河ほど、速いスピードで遠ざかっているように見えたのです。

これは例えるなら、膨らませる前の風船の表面に点をいくつか書いて、風船を膨らませていくようなものです。点が書いてある場所から見ると、他の点と点の間の距離がどんどん離れていきます。しかも、自分から遠い点ほど、速く離れていくように見えます。

ハッブルの発見は、まるで宇宙全体が、この「膨らむ風船」のように、時間とともにどんどん大きくなっていることを示唆していました。これが、「宇宙の膨張」という考え方です。

膨張を逆にたどると…?

もし、宇宙が今、膨張して大きくなっているのだとしたら、時間を巻き戻して過去に戻るとどうなるでしょうか?

膨張の逆を考えると、宇宙はどんどん小さくなっていったはずです。ずっと過去にさかのぼっていくと、宇宙全体が信じられないほど小さく、ぎゅっと詰まった、とても熱い状態だったのではないか、という考え方が自然と生まれてきます。

これが、ビッグバン理論の基本的なアイデアにつながるのです。宇宙は「大爆発」のような出来事で始まったわけではなく、非常に小さく熱い一点のような状態から、時間とともに膨張し続けて今の姿になった、と考えるのです。

「ビッグバン」という名前

ちなみに、「ビッグバン(Big Bang)」という名前は、最初から真面目に考えられていたものではありませんでした。この考え方をからかうために、「まるで大きな爆発(ビッグバン)みたいだ」と言われたのが始まりだと言われています。しかし、この呼び方が広く使われるようになり、今では宇宙の始まりの理論を表す名前として定着しています。

まとめ

ビッグバン理論は、宇宙はずっと変わらないという昔の考え方ではなく、「宇宙が膨張している」という実際の観測に基づいて生まれてきた考え方です。

遠くの銀河が遠ざかっているというハッブルの発見から、「ならば昔はもっと小さかったはずだ」と考え、宇宙が非常に小さく熱い状態から始まって、今のように膨張し続けてきたという宇宙の歴史を描く理論として発展してきました。

ビッグバン理論は、宇宙の始まりそのものを直接見ることはできませんが、宇宙に残された様々な手がかりをもとに、私たちの宇宙がたどってきた道を教えてくれる、素晴らしい物語なのです。