ゼロからわかるビッグバン

ビッグバン理論が考える、宇宙の始まりの始まりのお話

Tags: ビッグバン理論, 宇宙の始まり, 初期宇宙, 宇宙論, 超入門

はじめに:宇宙の始まり、どんなだったのでしょう?

私たちは時々、宇宙の始まりについて思いを巡らせることがあるかもしれません。「宇宙は一体、どうやって始まったのだろう?」と考えることは、とても自然なことだと思います。

ビッグバン理論は、そんな宇宙の始まりについて、科学的な考え方をもとに「こうだったのではないか」と教えてくれる考え方の一つです。この理論では、宇宙は今からおよそ138億年前に、非常に特別な状態から始まったと考えられています。

今回は、その「始まりの始まり」、つまり宇宙が生まれてほんの一瞬だけ経った頃のお話をしてみたいと思います。想像するのも難しいほど、不思議な世界だったようです。

ビッグバン理論が考える「一番最初の頃」

ビッグバン理論が描く宇宙の一番最初の頃は、私たちの日常の感覚では到底考えられないような世界でした。

どれくらい小さかったかと言うと、今の広大な宇宙全体が、まるで針の先よりもっともっと小さな一点に、ぎゅっと詰まっていたようなイメージです。ただし、これはあくまでイメージで、実際に「一点」という場所があったわけではありません。時間も空間も、その頃に生まれたと考えられていますから、どこかに「始まりの場所」があったというのとは少し違うのです。

そこには、今の宇宙にある星や銀河、私たちを形作るあらゆるものが、ごちゃ混ぜになって超高密度で詰まっていました。そして、信じられないほど熱かったと考えられています。

あっという間に「大きく広がった」出来事

その、想像もつかないほど小さく、熱く、密度の高い状態から、宇宙は突然、ものすごい勢いで膨らみ始めたと考えられています。

これは、私たちの想像する「爆発」とは少し違います。何かの中心があって、そこから周りに物質が飛び散る、というイメージではありません。例えるなら、何もなかった空間そのものが、内側から急激に膨張し始めた、というようなイメージです。

この始まりのごくごく短い時間の間に、宇宙は想像を絶する速さで、あっという間に大きく広がり、引き伸ばされたと考えられています。

広がりながら冷えて、宇宙の『種』ができた

宇宙が急激に膨らんだ後も、膨張は続きます。ただし、先ほどの始まりの時期ほど急激ではなく、もう少し穏やかな速さになったと考えられています。

大きく広がりながら、宇宙は少しずつ温度を下げていきました。そして、超高密度だったエネルギーが、次第に私たちが見たり触ったりできる「物質」や「光」に変わっていったのです。

この頃の宇宙には、後に星や銀河のもとになる、ほんのわずかな密度のムラ、つまり宇宙の『種』のようなものができたと考えられています。

まとめ:宇宙の始まりの始まりは、不思議な出来事だった

ビッグバン理論が考える宇宙の始まりの始まりは、「考えられないほど小さく、熱く、密度の高い状態から、あっという間に大きく広がった」という、とても不思議な出来事でした。

これは、私たちの日常的な感覚では想像しにくいかもしれません。しかし、この考え方が、その後の宇宙がどのように進化し、今の私たちの宇宙の姿になったのかを理解するための、大切な第一歩となるのです。

この後の記事では、広がりながら冷えていった宇宙で、光が見えるようになったお話や、元素が生まれたお話など、ビッグバン後の宇宙のあゆみについて、さらに詳しくお話ししていきたいと思います。