ゼロからわかるビッグバン

ビッグバンは爆発じゃない? ~宇宙の『時間』と『空間』が生まれたお話~

Tags: ビッグバン, 宇宙論, 宇宙の始まり, 時間, 空間

はじめに:ビッグバンって、どんなイメージですか?

「ビッグバン」という言葉を聞くと、何か大きなものが「ドーン!」と爆発する様子を思い浮かべる方が多いかもしれません。宇宙のどこか遠い場所で、ものすごい勢いで何かが吹き飛んだ、そんなイメージでしょうか。

たしかに、「バン(Bang)」という言葉が入っていますから、爆発のように聞こえるのも無理はありません。しかし、宇宙の始まりについて考えるビッグバン理論では、この「爆発」という言葉が、少し私たちの想像と違うところがあります。

今回は、ビッグバン理論が考える宇宙の始まりが、なぜ単なる「爆発」と少し違うのか、そして、宇宙の「時間」や「空間」がどのように関わっているのかを、一緒に見ていきましょう。

ビッグバンは「場所」で起きた爆発ではない?

私たちが普段考える爆発は、特定の「場所」で起きて、その周りに何かが勢いよく飛び散るイメージですね。例えば、花火が上がってパーッと広がるように。

でも、ビッグバン理論が考える宇宙の始まりは、少し違うんです。それは、宇宙のどこか一箇所で起きた爆発、というよりも、宇宙全体が、ものすごく小さく、ものすごく熱い状態から、一斉に膨張(ぼうちょう)を始めた、という考え方なのです。

想像してみてください。宇宙全体が、まだタマゴのように小さくてぎゅっと詰まった状態だった、と。その「タマゴ」が、私たちの宇宙全体そのものだった、ということです。それが、ある時を境に、一斉に、そしてものすごいスピードで膨らみ始めた。これが、ビッグバン理論の基本的な考え方です。

つまり、ビッグバンは、どこか別の場所から見て起きている爆発ではなく、私たち自身がいる宇宙全体が経験した、始まりの出来事なのです。だから、「どこでビッグバンは起きたの?」と聞かれると、「宇宙全体で、同時に始まった」と考えるのが、ビッグバン理論での答えに近くなります。

宇宙の『時間』や『空間』も生まれた?

さて、ビッグバン理論のさらに奥深い、そして少し不思議なお話があります。それは、宇宙の始まりのその時、単に物質やエネルギーが始まっただけでなく、私たちが当たり前だと思っている「時間」や「空間」そのものも、一緒に始まったのではないか、という考え方です。

私たちは、「時間」が過去から未来へ流れていくものだと感じていますし、「空間」が縦・横・高さを持つ広がりのことだと知っています。でも、宇宙が誕生するその瞬間のことは、私たちの普段の感覚では想像しにくい、特別な状態だったと考えられています。

ビッグバン理論では、宇宙の始まりのその瞬間は、私たちの知っている「時間」や「空間」といったものが、まだはっきりとした形を持っていなかった、あるいは、そこから始まった、と考えることがあります。

例えば、宇宙がものすごく小さく、すべてが一点に集まっていたような状態を想像すると、「その一点の外側はどうなっていたの?」とか、「それが始まる『前』には何があったの?」と考えたくなりますね。

しかし、ビッグバン理論が示唆するのは、宇宙の始まりは、「空間」の外側や、「時間」の「前」といった概念が、意味を持たないような出来事だったのではないか、ということです。宇宙全体が始まりであり、そこから「空間」が広がり、「時間」が流れ始めた。ビッグバンとは、そのような「宇宙という存在そのものの誕生」だった、と捉えることもできるのです。

まとめ:ビッグバンは、宇宙という物語の「始まり」そのもの

ビッグバンという言葉から「どこかでの大爆発」をイメージしがちですが、ビッグバン理論が語るのは、私たちが住む宇宙全体が、ものすごく小さく熱い状態から一斉に膨張を始めた、という壮大な物語です。

そして、その始まりの瞬間には、私たちが当たり前だと思っている「時間」や「空間」といったものも、宇宙という存在と一緒に生まれた、と考えることができます。

ビッグバンは、どこか遠くで起きた出来事ではなく、私たちの宇宙という広がりと、私たちが感じている時間の流れ、その両方の「始まり」だったのかもしれません。

こう考えると、ビッグバン理論は、単に宇宙の「爆発」の話ではなく、「宇宙の始まり」という、私たち自身の存在にもつながる、とても興味深いお話だということが分かりますね。