ビッグバンから今の宇宙へ ~宇宙が姿を変えてきた物語~
宇宙は最初から今の姿ではなかった?
私たちの住む宇宙には、きらめく星々が集まった銀河が数えきれないほどたくさんあります。私たちの地球も、太陽という星の周りを回っていて、太陽は「天の川銀河」という銀河の中のほんの小さな一点です。
このように、宇宙にはたくさんの星や銀河がありますが、実は、宇宙は最初からこのような姿だったわけではありません。ビッグバン理論は、宇宙が生まれたばかりの頃は、今とは全く違う姿をしていたと考えられています。そして、そこから長い時間をかけて、今の星や銀河のある宇宙へと「姿を変えてきた」という物語を教えてくれます。
まるで、生まれたばかりの赤ちゃんが成長して大人になるように、宇宙もまた、時間とともに変化し、「進化」してきたのです。今日は、その宇宙の物語を、ビッグバン理論に基づいてたどってみましょう。
始まりはとても熱く、詰まった世界
ビッグバン理論によると、宇宙は今からおよそ138億年前に、非常に小さく、そしてものすごく熱く、ぎゅっと詰まった状態から始まりました。想像もつかないほどの高温で、今の宇宙にあるような星や銀河どころか、原子さえも存在できないような世界でした。
例えるなら、ものすごく熱いスープのような状態だったと言えるかもしれません。いろいろなものがバラバラになって、一緒に混ざり合っていたのです。
膨らみながら冷えて、物質が生まれる
宇宙が始まってから、宇宙はものすごい勢いで膨らみ始めました。宇宙全体がどんどん大きくなっていったのです。宇宙が膨らむにつれて、その中の温度はだんだんと下がっていきました。熱かったスープが冷めていくようなイメージです。
宇宙が冷えていく過程で、様々なものが生まれてきました。まず、物質のもとになる小さな粒(これを「素粒子」と呼びます)ができました。さらに宇宙が冷えると、これらの素粒子が集まって、「原子核」というものができました。
そして、宇宙が生まれてから約38万年ほど経つと、宇宙の温度はさらに下がり、光が物質に邪魔されずにまっすぐ進めるようになりました。これが「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれるできごとで、この時に放たれた光は、今でも「宇宙マイクロ波背景放射」として宇宙に残っており、ビッグバン理論の大きな証拠の一つとなっています。(この「残り火」については、別の記事で詳しく解説していますので、そちらもご覧ください。)
星や銀河が誕生し、今の宇宙へ
「宇宙の晴れ上がり」の後、宇宙はさらに冷え、私たちの身の回りにあるもののもととなる「原子」がようやく作られました。宇宙空間には、こうしてできた水素やヘリウムといった軽い原子が漂うようになりました。
次に何が起こったかというと、宇宙空間に漂っていたこれらの物質が、少しずつお互いの引力(「重力」とも呼ばれます)によって引き寄せられ、集まり始めたのです。ちょうど、ふわふわ漂う綿が集まって、だんだん大きな塊になっていくようなイメージです。
物質がたくさん集まった場所では、やがて最初の星が生まれました。さらに、たくさんの星が集まって、「銀河」が作られました。私たちの天の川銀河も、このようにしてできたと考えられています。
そして、星や銀河がさらに集まったり、合体したりしながら、今私たちが見ているような、広大な宇宙の姿が形作られていったのです。
ビッグバン理論は「宇宙の成長物語」
このように、ビッグバン理論は、宇宙がただ「始まった」という話だけでなく、どのように膨らみ、冷え、物質ができ、星や銀河が生まれ、今の宇宙の姿になったのかという、壮大な「宇宙の成長物語」を教えてくれます。
私たちが夜空に見上げる星々や銀河は、138億年という長い時間をかけて宇宙が姿を変えてきた、その歴史の証なのです。ビッグバン理論を知ることで、私たちがいる宇宙が、いかに長い道のりを経て今の姿になったのか、その不思議な物語を感じることができるでしょう。
ビッグバン理論を学ぶことは、この宇宙の歴史を少しずつ紐解いていく、とても興味深い旅なのです。