ビッグバン理論は、宇宙のどんな『謎』を解き明かしたの?
はじめに:かつて宇宙は謎だらけだった
夜空を見上げると、たくさんの星が輝いていますね。私たちの住むこの宇宙は、一体どうやって始まったのだろう? 昔から、多くの人が不思議に思ってきました。
宇宙がどのように生まれ、どのように今の姿になったのか。科学が発達する前は、それは想像するしかない、大きな大きな謎でした。
でも、科学者たちが長い年月をかけて研究を進めた結果、「ビッグバン理論」という考え方が生まれ、かつて謎だった宇宙の姿が少しずつ見えてくるようになったのです。
では、ビッグバン理論は、宇宙のどんな謎を解き明かしてくれたのでしょうか。いくつかご紹介しましょう。
宇宙の始まりはどうだったのか?
長い間、宇宙に始まりがあったのか、それともずっと昔から変わらずに存在していたのか、誰も知りませんでした。
ビッグバン理論が登場する前は、「宇宙は永遠に変わらない」と考える人もいました。しかし、星空を詳しく調べるうちに、ある重要なことが分かってきたのです。それは、遠くにある銀河(たくさんの星の集まり)ほど、私たちから速く遠ざかっている、つまり宇宙全体が広がっているらしい、ということです。
もし宇宙が今、広がっているのなら、時間を巻き戻すとどうなるでしょう? 昔の宇宙は、今よりもずっと小さく、ぎゅっと詰まっていたはずです。
ビッグバン理論は、この考えを進めました。ずっと昔、宇宙は信じられないほど小さく、非常に熱く、物質がぎゅっと詰まった状態(高温高密度)から始まった、と考えたのです。これが「ビッグバン」の始まりのイメージです。
つまり、宇宙の始まりは、何もないところから突然できたのではなく、小さく熱い状態から膨張が始まったのだ、とビッグバン理論は教えてくれたのです。これは、宇宙に「始まり」があったことを示唆する、大きな謎解きでした。
なぜ宇宙は広がり続けているのか?
先ほど、遠くの銀河が遠ざかっている、つまり宇宙が広がっているらしい、というお話をしました。では、なぜ宇宙は広がり続けているのでしょうか?
これを説明するのが、ビッグバン理論が考える「宇宙全体の膨張」という考え方です。宇宙は、何かの中心があって外側へ広がっているのではなく、宇宙そのものが、全体的に伸びているイメージです。
例えるなら、パン生地に入れて焼かれたレーズンのようなものです。パン生地が膨らむと、レーズン同士の間隔はどんどん広がっていきます。どのレーズンから見ても、他のレーズンは遠ざかっているように見えますね。宇宙の膨張も、これに似ています。
ビッグバン理論は、宇宙が始まったその瞬間から、空間そのものが膨らみ続けていることで、今見られる宇宙の広がりをうまく説明できたのです。これも、宇宙の大きな謎の一つを解き明かすことになりました。
私たちの体を作る『素』はどこから来たのか?
私たちの体も、周りにある空気や水も、すべては原子という小さな粒でできています。原子には、水素、ヘリウム、炭素、酸素など、いろいろな種類があります。
宇宙には、特に「水素」と「ヘリウム」という、軽くて単純な原子がとてもたくさんあります。それより重たい原子(炭素や酸素など)は、宇宙全体から見ると少ないことが分かっています。
なぜ、宇宙には水素とヘリウムがこんなに多いのでしょうか?
ビッグバン理論は、宇宙が始まったばかりの頃、非常に熱く、物質がぎゅっと詰まっていた状態だったことに注目しました。その熱い状態の中で、軽い原子のもととなるものがたくさん作られた(元素合成)と考えたのです。
まるで、熱いお鍋の中で材料が混ざり合って料理ができるように、宇宙がまだ小さくて熱かった頃に、水素やヘリウムの原子のもとが効率よく作られた、というわけです。
ビッグバン理論は、宇宙がどれくらいの温度で、どれくらいの時間、その熱い状態だったのかを計算することで、今の宇宙に存在する水素とヘリウムの割合を、とてもよく説明できることが分かりました。これは、宇宙にある物質の起源に関する大きな謎を解き明かしたのです。
まとめ:ビッグバン理論が教えてくれた宇宙の物語
ビッグバン理論は、「宇宙は小さく、熱く、物質が詰まった状態から始まり、時間とともに膨張して今の姿になった」と考えることで、
- 宇宙に始まりがあったこと
- 宇宙全体が広がり続けている理由
- 宇宙に水素とヘリウムが多い理由
といった、かつて私たちにとって大きな謎だった事柄に、科学的な説明を与えてくれました。
もちろん、宇宙にはまだまだ分かっていないことがたくさんあります。でも、ビッグバン理論は、私たちが宇宙の始まりとそのあゆみを理解するための、確かな手がかりを与えてくれたのです。
ビッグバン理論を知ることで、夜空に輝く星たちが、遠い宇宙の始まりから繋がっている壮大な物語の一部なのだと感じられるかもしれませんね。