ビッグバンはどこで起きたの? ~宇宙全体のお話~
はじめに:ビッグバンというと、どんなイメージですか?
宇宙の始まりとされる「ビッグバン」。この言葉を聞くと、何もない空間の真ん中で、ものすごい爆発が起きて、そこから宇宙が広がっていった様子を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、ビッグバン理論が描く宇宙の始まりは、少しだけ、そのイメージとは違うのです。
ビッグバンは「宇宙のどこか一か所」で起きた「爆発」ではありません
ビッグバンは、まるで花火が夜空の一点で打ち上がるような、そんな「ある場所」で起きた出来事ではありませんでした。
ビッグバン理論では、宇宙の始まりは、宇宙全体の空間そのものが、急激に、そして同時に膨らみ始めた出来事だと考えられています。
これは、例えるなら、パン生地をオーブンに入れて焼いたときに、生地全体がふっくらと膨らむ様子に似ています。パン生地の中に入っているレーズンが、生地が膨らむにつれて、お互いの距離がどんどん離れていくように、宇宙の空間が膨張することで、宇宙の中にあったもの(後に星や銀河になります)同士が遠ざかっていったのです。
つまり、ビッグバンは、宇宙の「ある点」で起きた爆発ではなく、宇宙全体で同時に始まった、空間の膨張なのです。
では、宇宙の膨張に「中心」はあるのでしょうか?
パン生地が膨らむとき、どこか一点を中心に膨らんでいるわけではありませんよね。生地のどの部分を見ても、隣のレーズンとの距離が遠ざかっていきます。
これと同じように、宇宙の膨張にも「中心」はありません。宇宙のどこにいる人から見ても、周りの銀河(たくさんの星が集まってできた大きなかたまり)が、自分から遠ざかっているように見えます。まるで、自分たちが宇宙の中心にいるかのように見えるのです。
ですが、それは宇宙のどこから見ても同じように見える現象なのです。宇宙に「中心」という特別な場所は存在しないと考えられています。
まとめ:ビッグバンは宇宙全体で同時に始まった出来事
ビッグバンは、宇宙のどこか特定の場所で起きた爆発ではなく、宇宙の空間そのものが全体的に、そして同時に膨張を始めた出来事だと考えられています。
だから、「ビッグバンが起きた場所」という特定の点はありません。私たちが見ているこの宇宙全体が、ビッグバンという、空間が膨張し始めた出来事を経験したのです。ビッグバンは、宇宙の過去全体に起きた出来事と言えるでしょう。