宇宙で最初の元素はこうして生まれた ~ビッグバンのおかげ?~
はじめに
私たちの体も、周りにあるモノも、遠くの星も、すべては「元素」という基本的な材料でできています。鉄や酸素、炭素などがその例ですね。
これらの元素は、一体どこからやってきたのでしょうか?実は、その最初の始まりは、宇宙が生まれたばかりのころ、「ビッグバン」の時代にさかのぼると考えられています。
今回の記事では、ビッグバンがどのようにして宇宙最初の元素を作り出したのかを、分かりやすくお話ししたいと思います。
宇宙がとっても熱かったころ
ビッグバン理論が描く宇宙の始まりは、想像を絶するほど熱くて、ぎゅっと詰まった状態でした。例えるなら、それはドロドロに溶けた、ものすごく熱い「スープ」のようなものです。
そのスープの中には、将来元素の材料となる、とても小さな粒たちがごちゃ混ぜになっていました。
小さな粒がくっついてできたもの
宇宙が生まれてからほんのわずかな時間が経つと、その熱いスープの中で、小さな粒たちが互いにくっつき始めました。
これは、ちょうど磁石がお互いを引きつけ合うようなものです。熱いエネルギーのおかげで、これらの粒は勢いよく動き回り、ぶつかり合い、そしてある条件がそろうと、しっかりと結びついたのです。
こうして、小さな粒たちがいくつか集まって、「原子の元になるもの(原子核)」ができ始めました。特に多く作られたのは、水素(すいそ)という元素の原子核と、ヘリウムという元素の原子核です。
この、小さな粒がくっついて新しい種類の原子核ができることを、科学の世界では「核融合(かくゆうごう)」と呼びます。太陽が輝いているのも、この核融合のおかげなんですよ。
なぜか軽い元素ばかり?
ビッグバンで作られた原子核は、主に水素とヘリウムといった、宇宙で一番軽い元素のものばかりでした。鉄や金のような重い元素は、この時点ではほとんど作られませんでした。
なぜ軽い元素だけだったのでしょうか?
それは、宇宙が非常に速いスピードで膨らんで、すぐに冷えてしまったからです。熱いスープの中で粒たちがくっつき、少し重い原子核を作ろうとしても、宇宙が冷えるのが早すぎて、それ以上くっつく前にバラバラになってしまったり、くっつくチャンスがなくなってしまったりしたのです。
例えるなら、冷たいゼリーはすぐに固まりますが、熱いスープはなかなか固まりませんね。宇宙も、素早く冷えたために、重い元素が育つ時間がなかった、と考えられます。
まとめ
ビッグバン理論は、宇宙が始まったばかりの、信じられないほど熱くて密度の高い時代に、最初の「元素」が作られたことを教えてくれます。
それは主に、宇宙で一番軽い水素とヘリウムという元素の原子核でした。熱い宇宙の中で小さな粒たちがくっつき合う「核融合」という形で生まれたのです。
そして、宇宙がすぐに冷えていったため、重い元素はここではあまり作られませんでした。
こうしてビッグバンが作り出した水素とヘリウムは、その後の宇宙で星や銀河を作る材料となり、さらに星の中で核融合が進むことで、私たちの体や地球を形作る様々な重い元素が生まれていくことになります。
つまり、私たちの体や身の回りのモノも、大元をたどればビッグバンが作り出した最初の元素につながっている、と言えるのですね。