宇宙の広がりが見つかったら、なぜビッグバン理論を考え始めるの? ~時間をさかのぼるヒント~
宇宙の広がり、それは一体どういうこと?
遠い昔、科学者たちは宇宙は永遠に変わらないものだと考えていました。星々はいつも同じ場所にあって、宇宙全体としては静止している、と。
ところが、20世紀のはじめ頃、遠くの銀河(たくさんの星が集まった大きなかたまり)の光を調べた科学者たちが、驚くべき発見をしました。遠くにある銀河ほど、私たちから遠ざかっているように見える、というのです。
これは、宇宙全体がまるで膨らんでいる風船のように、空間そのものが伸びていることを意味しているのではないか、と考えられました。これが「宇宙の膨張(宇宙がどんどん広がっていること)」という発見です。
なぜ「広がっている」と分かると、昔は小さかったと考えたくなるの?
今の宇宙が膨らんでいると知った科学者は、次にこんなことを考えました。
もし宇宙が今、どんどん広がり続けているのなら、時間を逆向きに進めてみたらどうなるだろうか?
たとえるなら、風船が膨らんでいく映像を、逆再生してみるようなものです。膨らんだ風船の映像を逆再生すると、風船はどんどん縮んで小さくなっていきますね。
宇宙も同じように、今の膨張している状態から時間をさかのぼっていくと、宇宙全体はどんどん縮んでいくはずだと考えられます。
過去に戻れば戻るほど、宇宙はもっと小さく、ぎゅっと集まった状態だっただろう、と推測されるのです。
時間をさかのぼると、宇宙はどんな姿だった?
時間をずっとずっと巻き戻していって、宇宙がもし一点に集まるような状態だったとしたら?
その極端に小さくて、全てのものが集まっているような状態こそが、宇宙の始まりの姿だったのではないか?
これが、宇宙が膨張しているという発見から、ビッグバン理論を考える最初の重要なきっかけとなりました。
まとめ:今の宇宙の姿が、昔のヒントになる
私たちが住む今の宇宙が「広がっている」という事実。この「今の姿」を手がかりに、時間をさかのぼる考え方をすることで、「宇宙の始まりは、とても小さくて密な状態だったのではないか」という想像が生まれました。
宇宙の膨張という発見は、宇宙の始まりを探る上で、まさに重要な「時間をさかのぼるヒント」だったと言えるでしょう。ビッグバン理論は、このヒントから始まった、宇宙の壮大な歴史を解き明かす物語なのです。