宇宙の年齢はどうやってわかるの? ~ビッグバンからの時間の旅~
はじめに
私たちの住むこの広大な宇宙には、始まりがあったと考えられています。それが「ビッグバン」という出来事です。始まりがあるということは、宇宙にも私たち人間と同じように「年齢」があるということになります。
では、宇宙の年齢は一体どのようにして知ることができるのでしょうか? 目盛りのついた物差しで測れるわけではありませんね。実は、宇宙の年齢を知るためには、ビッグバン理論がとても大切な手がかりを与えてくれるのです。
このお話では、宇宙の年齢をどのように推測しているのか、その基本的な考え方について、平易な言葉でご紹介いたします。
宇宙に「年齢」があるとは?
宇宙には、星や銀河、ガスなど、様々なものが存在しています。これらのものは、ビッグバンという始まりの出来事から長い時間をかけて形作られてきました。まるで、家を建てるように、材料が集まり、組み立てられ、今の姿になったのです。
始まりから現在までの時間が、宇宙の年齢にあたります。ビッグバン理論では、宇宙は約138億年前に始まったと考えられています。この「138億年」という数字が、現在考えられている宇宙の年齢なのです。
では、なぜ「138億年」だと分かったのでしょうか? それには、宇宙の二つの大きな性質が関わっています。
宇宙が「広がっている」こと
一つ目の大切な性質は、「宇宙が今も広がり続けている」ということです。遠くにある銀河ほど、私たちから速いスピードで遠ざかっていることが分かっています。これは、宇宙全体がまるで風船が膨らむように引き伸ばされているイメージです。
もし宇宙が今も広がっているのなら、時間を巻き戻していくと、宇宙はどんどん小さくなり、最終的には非常に狭い一点のような状態にたどり着くと考えられます。これがビッグバンの始まりの状態です。
宇宙が広がっている速さが分かれば、始まりから現在までの時間を計算できるはずです。たとえるなら、家からどれくらいの速さで歩いてきたかが分かれば、歩き始めた場所から家までの距離が分かるようなものです。宇宙の広がる速さを測ることで、宇宙の年齢を推測する手がかりが得られるのです。
宇宙の「一番古い光」を見ること
二つ目の大切な手がかりは、「宇宙に残された一番古い光」です。ビッグバンが起きたばかりの宇宙は、光が自由に飛び回ることができない、とても熱くて濃密な状態でした。しかし、宇宙が広がって温度が下がるにつれて、光がまっすぐに進めるようになりました。この光が、今も宇宙のあらゆる方向から私たちに届いています。
この光は、「宇宙マイクロ波背景放射(うちゅうマイクロははいけいほうしゃ)」と呼ばれており、ビッグバンから約38万年後の宇宙が放った光だと考えられています。これは、宇宙が生まれたばかりの赤ちゃんの頃の「写真」のようなものです。
この古い光を詳しく調べることで、初期の宇宙がどんな状態だったか、そしてそれが現在の宇宙にどうつながっているかが分かります。宇宙の構造や成分に関するこの情報も、宇宙の年齢を計算するために非常に役立ちます。
まとめ
宇宙の年齢を知るためには、主に以下の二つの手がかりを使います。
- 宇宙が今も広がっている速さ: 宇宙の膨張の速さから、ビッグバンからの時間を逆算する考え方です。
- 宇宙に残された一番古い光(宇宙マイクロ波背景放射): 初期宇宙の貴重な情報源であり、宇宙が現在の姿になるまでの進化を理解する上で重要です。
これらの情報を、他の様々な観測データ(例えば、宇宙で一番古い星の集まりである「球状星団」の年齢など)と組み合わせることで、宇宙の年齢は約138億年である、という結論が導き出されています。
宇宙の年齢を知ることは、私たちがどのようにしてここにいるのか、宇宙がどのように進化してきたのかを理解するための、とても大切な一歩なのです。