宇宙が膨らんでいるのがわかった! ~ビッグバン理論につながる発見~
はじめに:宇宙の始まりを考える
私たちは、夜空を見上げて「宇宙は一体どうなっているのだろう?」「いつから始まったのだろう?」と、遠い宇宙に思いをはせることがあります。宇宙の始まりについては、古くから様々な考えがありましたが、現在、多くの科学者が最も有力だと考えているのが「ビッグバン理論」という考え方です。
このビッグバン理論は、「宇宙はとても小さな一点から始まり、今も広がり続けている」という壮大な物語です。では、なぜ科学者たちはそのような考えに至ったのでしょうか? それには、ある大切な「発見」が関係しています。
今回は、その大切な発見、つまり「宇宙が膨張している」という事実が、どのようにビッグバン理論という宇宙の始まりの物語につながるのかを、やさしくお話ししたいと思います。
宇宙は膨らんでいる? その驚きの発見
今からおよそ100年ほど前のことです。天文学者たちは、遠くにあるたくさんの「銀河(星の大集団)」を観測していました。すると、あることに気がついたのです。
それは、ほとんど全ての銀河が、私たちからどんどん遠ざかっているように見える、ということです。しかも、遠くにある銀河ほど、速く遠ざかっているように見えました。これはまるで、膨らんでいる風船の表面に描かれた点が、風船が膨らむにつれてお互いから遠ざかっていく様子に似ています。(風船の例えはあくまでイメージですが)
この発見は、当時の人々にとって大変驚くべきことでした。宇宙は広いけれど、全体としてはあまり変化しないものだと考えられていたからです。しかし、観測の結果は「宇宙全体が、まるで膨らむかのように広がっている」という事実を示していたのです。この「宇宙が膨張している」という発見は、後の宇宙の歴史を考える上で、大変重要な手がかりとなりました。
宇宙の膨張が教えてくれること
さて、宇宙が今、この瞬間も膨らみ続けている、という事実が分かったとします。このことから、私たちはどのようなことが推測できるでしょうか?
もし、宇宙が膨らんでいるのなら、時間を巻き戻して過去に戻ってみたらどうなるでしょう? 膨らむ風船が小さくなっていくように、宇宙もどんどん小さくなっていたはずです。
さらに時間をずっとずっと過去へと戻していくと、宇宙全体が信じられないほど小さく、しかも非常に熱く、密度の高い状態だったのではないか、と考えられます。
ビッグバンへのつながり
まさに、この「時間を十分に巻き戻すと、宇宙全体が極めて小さく、熱く、密度の高い一点に集まっていた状態」こそが、ビッグバン理論が描く宇宙の始まりの姿なのです。
つまり、「宇宙が今も膨張している」という観測から、「かつて宇宙は非常に小さく、熱い一点だった」という過去の姿を推測することができる、というわけです。宇宙の膨張は、過去にビッグバンと呼ばれるような出来事があったことを強く示唆する、決定的な証拠の一つとなったのです。
私たちは、宇宙が広がっている様子を観測することで、宇宙の始まりにビッグバンという出来事があったのではないか、と考えることができるようになりました。まるで、飛んでいくロケットの速さを見て、それが打ち上げられた瞬間はどんなだったかを想像するようなものです。
まとめ:広がる宇宙から見えてくる始まり
宇宙が膨張しているという驚くべき発見は、私たちに宇宙の過去の姿、そしてその始まりを考えるための大きなヒントを与えてくれました。
今も膨らみ続けている宇宙の姿を観測することで、私たちは宇宙がかつて非常に小さな一点に集まっていた時代があったのではないか、と推測することができます。この「宇宙が膨張している」という事実は、ビッグバン理論という宇宙の始まりの物語を支える、とても大切な柱の一つなのです。
このように、遠い銀河の観測から始まった宇宙の膨張の発見は、宇宙の始まりであるビッグバン理論へと私たちを導いてくれた、素晴らしい手がかりとなりました。
これからも、私たちは宇宙の謎に少しずつ迫っていくことでしょう。