宇宙が膨張するって、一体どういうこと？ ～膨らむ風船で考えてみましょう～
宇宙が膨張するって、なんだか不思議ですよね
ビッグバンのお話をすると、必ず出てくるのが「宇宙が膨張している」という言葉です。宇宙が広がり続けている、ということですね。
でも、「膨張」と聞くと、何か中心があって、そこから物がバーンと飛び散るようなイメージをされる方もいらっしゃるかもしれません。実は、宇宙の膨張は、私たちの身の回りの「物が広がる」のとは少し違った意味合いを持っています。
空間そのものが伸びている？
宇宙の膨張で大切なのは、「物と物の間の空間そのものが、じわじわと伸びている」というイメージです。宇宙の中にある星や銀河が、どこかへ向かってすごい速さで飛んでいっている、というよりは、それらが浮かんでいる空間自体が大きくなっている、と考えられています。
風船の表面で考えてみましょう
この「空間が伸びる」という様子を理解するために、よく使われる例えがあります。それは、「風船」を使う例えです。
膨らむ風船の表面が宇宙
想像してみてください。しぼんだ風船に、いくつかの点（星や銀河だと思ってください）をマジックで描きます。
そして、その風船をゆっくりと膨らませていきます。
風船が膨らむにつれて、描いた点と点の間はどうなるでしょうか？ 点そのものは動いていないのに、点と点の間の風船のゴムが伸びることで、それぞれの点は互いに離れていきますね。
これが、宇宙の膨張のイメージに近いのです。風船の表面が私たちの宇宙全体だと考えてみてください。点と点（星や銀河）の間にある「空間」（風船のゴム）が伸びることで、宇宙全体が大きくなり、遠くにあるものほど、より速く私たちから遠ざかっているように見えるのです。
風船の例えのポイント
この風船の例えで大切な点がいくつかあります。
- 表面だけ: 私たちが考えているのは、風船の「表面」です。宇宙に中心がないように、風船の表面にも特別な中心はありません。どの点から見ても、他の点（星や銀河）が自分から遠ざかっているように見えます。
- 点自身は動いていない: 風船の例えでは、描いた点そのものが動いているのではなく、点が乗っている「表面（空間）」が伸びています。実際の宇宙でも、星や銀河が空間の中を動く動きもありますが、それ以上に宇宙全体の膨張による遠ざかりの方が効いてきます。
もちろん、この風船の例えはあくまで「例え」です。実際の宇宙は風船のように外側があるわけではありませんし、3次元の空間が膨張しています。ですが、「空間そのものが伸びることで、遠くのものが遠ざかって見える」というイメージをつかむには、とても分かりやすいのではないでしょうか。
まとめ
宇宙が膨張するというのは、何か特別な中心から物が飛び散るのではなく、宇宙の空間そのものが時間とともにゆっくりと、しかし確実に伸びているということです。膨らむ風船の表面の点と点の間が離れていくように、宇宙にある星や銀河の間も、空間が伸びることで互いに遠ざかっているのです。
この風船のイメージで、宇宙の膨張という不思議な現象が、少しでも身近に感じていただけたら嬉しいです。