なぜビッグバンは『ビッグバン』という名前なの?
ビッグバンという名前は、どうやって決まったのでしょう?
私たちの宇宙の始まりについてお話しする際に、「ビッグバン」という言葉をよく耳にするかと思います。宇宙が遠い昔、とても小さくて熱い状態から始まり、大きく膨張してきたという考え方ですね。
この「ビッグバン」という名前は、なんだか覚えやすくて親しみやすい響きがあります。でも、一体誰が、そしてどんな理由で、この名前をつけたのでしょうか?実は、そこには少し面白いお話があります。
名前の生みの親は、この考え方に反対していた?
「ビッグバン」という名前を最初に使ったのは、イギリスの天文学者フレッド・ホイル博士という方だと言われています。
ホイル博士は、ビッグバンとは別の、「宇宙は昔から姿を変えずにあり続けている」という考え方(当時は「定常宇宙論」などと呼ばれていました)を支持していました。
彼は、ビッグバン説に対して少し懐疑的でした。ある時、ラジオ番組で宇宙の始まりについての解説をした際に、ビッグバン説を説明するために、少し皮肉を込めて「ビッグバン」という言葉を使ったのです。
最初は、少しからかうような気持ちだった?
ホイル博士は、宇宙が一瞬のうちに「ドーン!」と始まったかのようなビッグバン説の考え方を、あまり現実的ではないと考えていたようです。
それで、あたかも大きな爆発があったかのようなイメージで、「ビッグバン」と呼んでみました。これは、真面目な科学用語というよりは、この説を分かりやすく、そして少し面白おかしく表現するための言葉だったのです。
皮肉だったはずの名前が、どうして定着したのでしょう?
ホイル博士が「ビッグバン」という言葉を使った時、それはビッグバン説を支持する人にとっては、必ずしも良い印象の名前ではなかったかもしれません。
しかし、この「ビッグバン」という言葉は、専門家ではない一般の人々にとって、宇宙の始まりのイメージを伝える上で非常に分かりやすく、インパクトがありました。
科学の世界では、ある考え方を説明するために使われた言葉が、意図とは関係なく広く使われるようになることが時々あります。ビッグバンという名前も、最初は皮肉めいたものでしたが、その分かりやすさから、宇宙の始まりのこの考え方を指す言葉として、多くの人に受け入れられ、定着していったのです。
まとめ:名前の裏にある、科学の歴史
普段何気なく使っている「ビッグバン」という言葉には、このように、最初は科学者たちの間で議論があったことや、名前をつけた人の少し意外な気持ちが隠されていました。
今では、宇宙が昔小さく熱い状態から始まり、膨張してきたという考え方が、様々な証拠によって広く受け入れられています。「ビッグバン」という名前を聞くたびに、その名前が生まれた背景にある、科学の探求の歴史を少しだけ思い出してみるのも面白いかもしれませんね。