なぜ「宇宙の広がり」がビッグバンのヒントになったの?
宇宙は広がっている? 驚きの発見
皆さんは、宇宙がどんどん広がっている、と聞いたことがあるでしょうか? 遠くの星や銀河が、私たちからどんどん遠ざかっているという、とても不思議なお話です。
今からおよそ100年ほど前、アメリカの天文学者、エドウィン・ハッブルという人が、遠くにある銀河を詳しく調べました。すると、ほとんどの銀河が私たちから遠ざかっていることが分かったのです。さらに、遠くにある銀河ほど、速いスピードで遠ざかっていることも見つけました。
これは例えるなら、風船の表面に点をいくつか描いて、風船を膨らませるようなものです。風船が膨らむにつれて、点の間の距離はどんどん広がっていきます。どの点から見ても、他の点は自分から遠ざかっていくように見えますね。そして、遠い点ほど、速く離れていくように見えます。私たちの宇宙も、これと同じように空間そのものが広がっていると考えられています。
広がり続ける宇宙から、昔の姿を想像する
さて、宇宙が今、この瞬間にも広がり続けているという発見は、科学者たちに大きなヒントを与えました。
考えてみてください。もし宇宙が今、広がっているのなら、時間を巻き戻したらどうなるでしょう? 今は離れている銀河も、昔はもっと近くにあったはずです。さらに時間をさかのぼれば、宇宙全体がもっともっと小さく、ぎゅっと詰まった状態だったはずです。
まるで、今膨らんでいる風船の空気を抜いていくように、宇宙も昔は小さく縮んでいた、と想像できるのです。
ビッグバン理論へつながる大切な考え方
この「時間を巻き戻す」という考え方から、「昔の宇宙は非常に小さく、そしてとても熱い状態だったのではないか?」というアイデアが生まれました。これが、ビッグバン理論という宇宙の始まりを考える上で、非常に大切な第一歩となりました。
宇宙が広がっているという事実が、過去の宇宙がどんな状態だったのかを推測するための、強力な手がかりになったのです。遠くの銀河の光は、そこから旅をして私たちの目や望遠鏡に届きます。光の速さは決まっていますから、遠い銀河からの光ほど、長い時間を旅してきた、つまり宇宙の「昔の姿」を私たちに伝えてくれているのです。広がっている宇宙を見ることによって、私たちは宇宙の歴史をさかのぼるタイムマシンに乗っているようなものなのです。
まとめ
「宇宙が広がっている」というシンプルな発見は、宇宙の昔の姿を知るための扉を開きました。時間をさかのぼるという考え方を通じて、科学者たちは、宇宙全体がかつて非常に小さく熱い状態だったというビッグバン理論の基本的な考え方にたどり着いたのです。この発見がなければ、私たちは宇宙の始まりについて、今のように深く考えることはできなかったかもしれません。宇宙の広がりは、ビッグバン理論を知る上で、最初の、そしてとても大切な手掛かりなのです。